悪戯 ―イタズラ―
「お疲れ様、です」
社内には、一人の男性社員がいた。
残業中のようだ。
まともに話したことがない。
ひたすらパソコンに向かってキーボード叩いてる時間が多いプログラマー。
背が高くてヒョロガリ。
猫背気味で黒ぶち眼鏡をかけている。
こんな時間に会社で2人きりになったとしても、過ちのひとつも起きることのないであろう、無害そのもの。
「どうされました」
しゃべった。
まあ、このくらいは話す……?
「忘れ物を」
「そうですか」