悪戯 ―イタズラ―
しかし、こっち見ないな。
ずっとパソコン見つめてる。
それじゃあ目が疲れない?
よく一人で残業してるの?
なんて余計なことを考えている時間はない。
さっさと戻らなきゃ。
「なに忘れたんです?」
そんなこと気になるの、かな。
それとも間をもたせようって感じ?
「携帯です」
「ありましたか」
「……いえ」
あるとしたら、デスクまわりなんだけどなあ。
念のために椅子を引いて、足元まで確認する。
「鳴らしましょうか」
「あ、たぶん電源切れちゃってるので意味ないです」
「携帯って、見当たらないとき電源切れてたりサイレントモードなんかに設定してると困りますよね」
「めちゃくちゃわかります」