甘い恋には程遠い

桃花「寂しかった?」

慧「姉が死んでからさ。
父親も母親も…もういないんだ。」

桃花「おれへんって?どうゆう事?」

慧「多分、前も。
いい家族ではなかったよ。
それでもそこには幸せがあった。
仕事漬けの父親と母親。
成績優秀で人当たりのいい姉と
無愛想な俺。いつも明るく楽しい
食卓って訳にはいかなかったけど
それでも、それなりの幸せがあった。」

遠い昔を思い出しながら。
少しだけ幸せな表情で。

慧「でも、姉がいなくなって
父親は会社を辞めて…
姉の死をまだ受け入れられてない
母親はヒステリーになって。
誰も俺を見ていない。皆が皆、無関心で
皆が皆、自分の事で精一杯だった。」
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