甘い恋には程遠い

ドアノブに手をかけた大神は
なかなか開けへんくて
息を吸って吐いてを繰り返した。

慧「後さ、今日も仕事だろうから。
帰ってきた頃にはもういないだろうから。
今、言うけど、11月11日。
文化祭があるから。…気が向いたら
見に来てよ。あの人にも伝えておいて。」

母「うん、必ず行くわ。」

慧「じゃあ、いってきます。
…母さんも…いってらっしゃい。」

母「いってきます。」

大神の家を出ると
太陽の匂いがした。

それを肺いっぱい吸い込むと
昨日気持ち悪かったんが
嘘のようにスッキリした。

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