君だけが知っている君へ。
「それにしても、アイツまた突然居なくなったよね」

去年くらいから、彼はまた突然姿を消した。

あまりに突然で、誰も彼のことを知る人はいなくて。

「結美がメール教えて、って言っても教えてくれなかったし」

私は持ってなかったけど、中学生になってからケータイを持つ子はチラホラいた。

「アイツ、ケータイあるくせになんだよって感じだよねぇ。ケチ」

「僕も知らないや。そういえば学校すら知らないや」

確かに、私たちは全員、小学校も中学校もバラバラで。

「今思うと、アイツのこと何も知らないね」

ポツリと結美が言った。
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