君だけが知っている君へ。
中野というのは……最近、ジムの中でやってる卓球サークルの担当コーチ。

「そうかな?大雨の時、家が近いからって送ってくれただけだよ。ほんとに近所だったけど」

雷もすごくて、雨もすごくて。
自転車で帰れるレベルじゃなくて。

親は仕事で迎えに来れても23時を過ぎると言われてたから、どうしようか困ってたらコーチが送ってくれることになった。

「同じ高校出身だ、ってゆうのもなんか親近感湧いちゃったんだよね」

中野コーチが私の先輩だったことも驚きだった。14個も年上だけど。

「中野のことだと楽しそうに話すんだね」

なぜか不機嫌になる悠樹。

「なんで怒ってるの?」

「怒ってない。今日の帰り、家まで送ってく」

そう言い残して、悠樹は更衣室へと消えていった。
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