君だけが知っている君へ。
結美のおかげで、その日から私は毎日が楽しくなった。

結美は私と同い年だった。
学校の話や好きな人の話で盛り上がった。

たくさん話してくれるし、私のことは深く聞かずにいてくれるから一緒に過ごしやすかった。

私や結美のようにほぼ毎日、水泳教室に来てる子は他にも何人かいて、

(しゅん)!!アイツは?今日来てないの?」

結美の従弟(私より2つ年下)で、毎日来てる組の1人だった。

「来てないよ。なんで?」

「こないだ心桜に鬼押し付けたまんま、来てないんだよね」

「アイツ来る時と来ない時、かなり差があるんだよね」

アイツと呼ばれている、私に突然、鬼を押し付けてきた君はあの日以来姿を見せていなかった。
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