ウルルであなたとシャンパンを
・年下だったの
「ええっ?!ちょっと待って、23?!」
叫んでしまった香耶の声が店内に響いて、向かい側に座っていたルカさんが慌てて両手を上下にあおぐような身振りをする。
「ヤマモトさん、落ち着いて」
何事か、というように注目する人達に短く何事か告げると、ルカさんは内緒話をするようにテーブルに身を乗り出して言った。
「大声出されると、僕が何かしたんじゃないかって思われるよ」
「……ごめんなさい」
確かに自分が悪かった、と、身を小さくして謝ると、ルカさんは外国人らしい仕草で肩をすくめて見せた。
「アジア人は体も小さいし、若く見えるからね。ヤマモトさんからは、僕も、もっと大人の男に見えてたのかな」
「そう……ですね」
この距離で肌の輝きを見てしまえばそうは思わないけれど、正直言って、最初は同じくらいかと思ってた。
「……その話し方も、僕が年上だと思っていたせい?」
「まあ……だって、6つも年下だと思わなかったし」
香耶がつぶやくと、今度はルカさんが驚いたように動きを止めた。
「……29?」
「聞かなかったことにして」