ウルルであなたとシャンパンを

「カヤはワインが好きなの?少し郊外になるけど、いいワイナリーがあるよ」
「ワイナリー?」

聞いたことはあるけれど、ルカの言うワイナリーと私の知るワイナリーはちょっと違うようだ。

「そう、葡萄を育てて、ワインを作っているところ……日本にはないのかな?食事も宿泊もできるし、休暇を過ごすにはいいところだよ」
「それは……ホテルじゃないの?」
「基本はワイナリーなんだけれど、遠くから来る人もいるからね。小さいけれど、簡単な食事と泊まれる部屋を用意しているんだ」
「へえ、そうなんだ」

簡単にごまかされる女にはなりたくないけれど、香耶とルカとは付き合っているわけでもなんでもない。

ここで気になる、としつこく訊くよりも、この楽しそうな話題に乗った方が楽しく過ごせるだろうと、香耶は笑って相槌を打った。

「日本にもワインで有名なところはあるし、そういう場所もあるのかもしれないけど、私は行ったことないな」
「静かでいい場所なんだ。僕も何度か週末を過ごしたことがあるよ。人が足りない時には、仕事を手伝ったりもしたし」
「手伝うって?」
「荷物を運んだり、葡萄の枝を切ったり……」

つまりは、農作業を手伝ったということなんだろう。


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