ウルルであなたとシャンパンを
「ううう……」
自己嫌悪に呻きながらバスルームを出て、濡れた髪をタオルで包み、ホテルのバスローブをひっかけて、もう一度、スマホの文面を眺める。
怒っている感じ……ではないように思えるけれど、笑顔で青筋立てるタイプの人だったら……と思うと、背筋がスッと寒くなった。
立場が逆で、香耶がルカみたいに若くてキレイなハーフの女の子なら……ガイドしてやった外国人のおじさんが、調子に乗ってお酒を飲みまくり、泥酔してキスしてくる……
「……うっ」
昨日の記憶のルカを想像上のおじさんに置き換えた香耶は、軽い吐き気を催して口元を押さえた。
うん、これは……なんていうか、控え目に言って、ドン引きだ。
そんなおじさんとは二度と会いたくないし、場合によっては訴えるかもしれない
でも……でも!
幸い、ルカは男性で、おだやかでフレンドリーな人だった。
一緒に過ごした数時間で彼の全てをわかった風には言えないけれど、少なくとも、酔っぱらいの失礼な行動ひとつでブチ切れるとは思えない……多分。
それに、彼は外国人だから、スキンシップだって日常茶飯事かもしれない。