ウルルであなたとシャンパンを
「香耶……好きだって言ったのは嘘じゃない。俺は香耶のこと、本当に……今でも好きだよ。愛し」
心配そうな声の後、ゆっくりと背中をさすられて。
低いトーンで語られた言葉に、ぞわっと鳥肌が立った。
「やめてよ!」
ついさっきまで好きだと思っていた人を、急に嫌いになんてなれない……と思っていたけれど。
香耶の体は、明確な拒絶反応を示して。
気づけば、香耶は彼の腕を乱暴に振り払っていた。
「結婚してるくせに!」
泣きわめく自分がひどく無様なのはわかっていたけれど、もう止められなかった。
「奥さんがいるくせに、よくそんなことっ」
手にしたバッグを彼にぶつけてたら、目の前に小さな水滴がいくつも散った。
好きだったのに!
結婚できると思ってたのに!
声には出せない言葉の代わりに、何度もバッグを彼に打ち付ける。
「ごめん、ごめんって」
「嫌い、大っ嫌い!」
叫んだ香耶の手首と二の腕が掴まれて、強い力で引き寄せられたと思ったら、鼻先が彼のシャツに押し付けられていた。