【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
シャワーを浴びて、軽装のまま髪をガシャガシャと乱暴に拭けば、フェルゼンが扇で風を送ってきた。
「お前、まな板胸だからって危機感薄いぜ。一応女なんだろ」
「一応じゃない、れっきとした女だよ!」
「俺の知ってるれっきとした女は、ボイーンきゅバイーンだ」
「煩いなぁー……ツルペタで悪かったね!」
「まあ、そのツルペタでもそーゆーのが好きなやつだっているんだから、ちったぁ気を付けろよ。ハシタナイ」
「君がいるのになんの心配がある? それにハシタナイのは君の前だけだよ」
そう答えれば、フェルゼンは一瞬固まって、なぜだか顔を赤らめた。
「ったく、ご令嬢たちが知ったら卒倒もんだぜ。『宵闇の騎士ベルン様』はクールなのが魅力らしいぜ?」
フェルゼンが茶化すように笑う。
「別に騙すつもりじゃないって知ってるだろ? 『太陽の騎士フェルゼン様』 君は情熱的だって噂だよ。チャラいだけだと思うけど」
私も負けじと言い返したが、あっさりと無視される。