【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「それにしても、アイスベルク侯爵は、男として洗礼を受けさせるなんて、思い切ったことしたよな。そうでもなけりゃ、いくらベルンがお転婆でも士官学校へは入れなかっただろ?」
「まったく。私だって王都で騎士になるなんて思わなかったよ」
「それが今や、王都社交界のアイドル騎士様だ」

 フェルゼンは意地悪く笑った。私は肩をすくめる。それこそ本意ではない。

「時期を見て領地に引っ込むさ」
「領地に結婚相手でもいるでものか?」
「まさか! でも、結婚する必要もないしね。アイスベルクには騎馬隊もあるし、そこで女騎馬隊でも作って、馬でも育てるよ」

 うちの領地は、馬を王宮に献上しているのだ。

「お前らしい」

 フェルゼンが笑った。
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