【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
8.宿営地にて 1
「寒い、フェルゼン」
点呼の終わった校庭で、しばしの休息時間があった。あらたまった勅令があるとかで、騎士団長の登場を待っているのだ。
私はかじかむ手をフェルゼンの脇の間に挟んで暖を取る。
フェルゼンは、炎の属性だからか体温が高い。対する私は氷だから、どうも冷えやすいのだ。なので、子供の頃からフェルゼンで暖を取るのが習慣になっていた。
「しょーがねーなー」
フェルゼンはそう言いながらも、ギュッと脇を閉めて温めてくれる。
「はー……あったかい……フェルゼン最高……」
うっとりとため息をつけば、シュテルが呆れたように笑う。
「敬礼!」
号令がかかり、慌ててビシリと敬礼をする。
壇上に騎士団長が現れ勅令を読む。