【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「それにこうなった半分は、君のせいでもあるんだからね!」
「げっ! 俺のせいかよ!」

 睨みつければ、フェルゼンはヘラヘラと両手を上げてホールドアップして見せる。
 突然、バタンと入り口の扉が開き、フェルゼンが慌てて立ち上がった。
 私はその大きな背中に隠れて、慌てて上着を羽織る。

「シュテル!」

 フェルゼンが驚いたように声を上げた。扉を開けたその人は、この国の第二王子シュテルンヒェン・フォン・ミルヒシュトラーゼだ。この人も光芒(こうぼう)王子なんて呼ばれている。
 私たちは幼馴染ということもあり、愛称で呼ぶことが許されていた。

「今日も素晴らしかった!」

 興奮した様子でズカズカと入ってくるから、私は慌ててボタンをかけて、髪を一つに結ぶ。

「ノックぐらいしろよ!」

 フェルゼンが不満げに言えば、意味がわからないといったように微笑む。

「君たちしかいないのに、僕が遠慮する必要ある?」

 コテンと首を傾げる姿があざとい。マジ小悪魔天使。
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