【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
大事になって、軍紀違反に問われても面倒だ。あれくらいのことで、書類をかかされたりしたくない。書類仕事は大っ嫌いなのだ。
クラウトは顔を真っ赤にして、黙った。
「……は、はい……」
それを見てフェルゼンが肩を組んでくる。
「ベルン、詳しい話を聞かせてもらうぜ」
「いやだから、ちょっとしたトラブルがね?」
「ほお? 俺には話せない話か?」
「いや、そうじゃないけど、めんどうっていうか」
「メ ン ド ウ ??」
「いや、ベルンは相変わらずカッコよかったよ」
シュテルが、冷たい笑顔で答える。
何がカッコイイだ、心にもないくせに。わざとフェルゼンを怒らせるつもりだ。
チクショウ、裏切り者! 余計なことを言うな!!
「ちょっと、なに言って!」
「本当に僕もたいがいにして欲しいと思う」
シュテルの声が冷たい。なんか私怒らせるようなことした?
フェルゼンの腕に力が籠められた。