【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 テントに戻れば、シュテルが無理やり私を荷馬車の荷台へ引っ張り込んだ。

「ベルン、そこに正座」

 王者の貫禄で私に命じるから、私はスゴスゴと正座する。

「君に少し話しておかなくちゃいけない。君は宿営は初めてじゃないはずだけど、知らないようだからね」

 シュテルは私の両肩を掴んだ。
 真剣な顔で見つめてくる。

「こういう場所では、男色があるから刺激しないように気を付けること」
「だんしょく? ああ、よく聞くよね?」

 軽く答える私に、シュテルはため息をついた。

「男色の意味わかってないでしょ?」
「男同士の恋愛関係でしょ?」
「そうだよ、恋愛関係。キスしたり、裸で抱き合ったり……」

 具体的に言葉にされて思わず赤面する。
 シュテルは私の反応を見て、ムッとしたように言い放った。

「だから、刺激しないように!」
「刺激なんてしてないよ、それに私なんか」
「刺激、してる、されてるよ。自覚してよ」

 シュテルが真剣な目で見つめてくる。なんだか変だ。
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