【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
シュテルは、緩やかに弧を描いて輝く癖のある黄金の髪に、光り輝くアンバーの瞳。文句なしのイケメンで、声までも麗しく、これぞ王子の中の王子といった風貌だ。
ただ、内面は天真爛漫で屈託なく邪気がないくせに、意外に強引だったりと、なかなか王子らしくなかったりするのだ。
そんな内面を知っているのは、ごく一部の限られた人たちだ。その中に自分が含まれていることはとても嬉しかった。
「二人の剣舞が一番華やかで見ていて飽きないな」
「ありがと」
なんでも人並み以上の力を持つ王子に、褒められるのは純粋に気持ちが良い。
「それに、見たかい? あの観客席」
そう言ってニヤリと笑う。
「君たち色に染まってた。相変わらずの人気だね。妹も紫の扇子を誂えてたよ」
「マレーネ姫様ぁ〜」
私は脱力した。
「ちなみにリーリエ嬢は青だったよ」
「あ、姉上まで……」
だんだん頭が痛くなってきた。