【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「……私、シュテルには敵わないけどさ、結構強いよ。でも、心配なら約束する。手に負えなさそうになったら助けを呼ぶし、君を頼るよ」
「わかった。本当に僕を頼ってよ」
「うん、心配ありがと」
シュテルは小さく笑って、手を差し伸べてきた。私はその手を取って立ち上がる。
「うー……、足痺れた……」
「ゴメン」
全然謝ってる風じゃなく笑う。
よた付けばシュテルが支えてくれる。
腰に回された手が大きくてびっくりした。見上げないと見えない場所にある顔。分かってはいたけれど、一回り大きい。いつの間にこんなに大きくなっていたんだろう。知ってはいたけれど、解かってなかった現実に、なぜだかドキリと胸が跳ねた。
「あー、シュテルに絞られたー!!」
私は、ドキドキする心音を悟られないように、わざと大きい声を出して荷台から外へ出た。