【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「あの一年」
「「「ああ、あれは、落とされたな」」」
「うっわ、フェルゼン、キレた」
「今ので、怒る理由変わったな」
「ベルン、御愁傷様」
外野がワイワイ言っているが、私の頭はグルグルだ。
落とされたってどういうことだ? フェルゼン先輩がキレるのはどうしてなんだろう。
なんて思った瞬間、ベルンシュタイン先輩がつま先立ちして、フェルゼン先輩の頭を押さえ込み、ほっぺに顔を近づける。
一瞬、周りに薔薇の花が舞った気がした。
フェルゼンの顔が真っ赤に染まり、先程の勢いはなくなって静かになる。
!? キスした!?
うそ、だ。そんな。だって、そんな。
仲が良いとは聞いていたし、知っていた。でも、だけど。キスだなんて、恋人じゃなきゃ。
恋人、なんだろうか。