【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「おい……あれ見たか、ベルンのやつ」
「ああ、フェルゼンと」
「き、キス、した?のか?」
「しかも、フェルゼンのあの反応」
「……ああ、あの女たらしのフェルゼンが」
「顔を真っ赤にして」
「何も言えなくなるとか」
「なにしてんだよ……ベルン……」
「いや、ベルン、まぁ、そこそこイケメンとは思ってたけど?」
「ま、まぁ、そうだよな、宵闇の騎士様だしな?」
「しかし」
「なんだ、あれだ、今まで気が付かなかったけど」
「「「魔性」」」
「だな」
「やべーよ、アレは」
ザワつく言葉。私の心もザワついた。
チラチラと光る眼はベルンシュタイン先輩を見ている。士官学校の中では、男同士の恋人達もいないわけではなかった。
だけど、ベルンシュタイン先輩がそういう人なんて。
そういう人だったら。
私も。
そう思う自分に驚いた。私もキスしたいだなんて。相手は先輩なのに。男なのに。それなのに。