【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「さあ、今日の夜会は騎士としてでなく参加だろ? 楽しみだな」

 いたずらっぽく笑うから、私は唇を尖らせた。

「シュテルほどじゃないよ」
「僕は王子だからモテるのは当然」

 ふふん、と鼻を鳴らす。

 これだからイケメンは嫌だ。

「君は! 王子じゃなくても絶対モテるけどね!」

 投げやりに言えば、驚いたように目を見開いた。

 自覚ないのか、この人、最悪。

 ちなみに、幼馴染といえども、シュテルは私が女だということは知らない。


 なんでこんなことになってしまったのか。

 誰も騙そうだなんて思ってもいなかったし、男として生きていこうだなんて、強い意思も覚悟もなんにもないのに。


 ほんと、世の中はままならない。


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