【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「ベルン様! 魔力はまだ残っているか?」
「うん!」
「騎馬隊の矢にベルン様の氷の魔法を!」
「わかった!」
再度放たれるたくさんの矢に、私が氷の魔法をかければ、サラマンダーにまで弓が届く。次々に刺さっていく。
「……ベルン、君、他の人に魔法を分けるなんてできるの?」
「? うん」
「だったら、僕の矢にも君の魔法を!」
シュテルが苦しそうな表情で、足もとに散らばった矢を拾い、つがえる。
銀色に輝く矢に私の魔法をかける。キラキラと輝きが増す。
シュテルは歯を食いしばって矢を引き絞り、サラマンダーに向けて放つ。真っ直ぐに放たれ矢は、迷うことなく額に食い込んだ。
この世のものとも思われぬ絶叫が響き渡る。
のたうち回りながら、サラマンダーは倒れた。