【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
2.だってしらなかったんだもん!
私の名前は、ベルンシュタイン・フォン・アイスベルク。一応、生物学的には侯爵令嬢である。
お父様は、ズィルバー・フォン・アイスベルク辺境伯。
お母様の名前はイーリス。
七つ上のエルフェンバインお兄様と、二つ上のリーリエお姉様との三人兄弟で、私は末っ子。
王都の北に広がる辺境の地アイスベルク領が私たちの領地だ。アイスベルクは、北に高い峰々が連なり、西には海。東には小さいけれどヴルカーン領の飛び地があり、南は小さな森と大きな川を挟んで王都につながる。
私が男と間違えられる理由の一つに、父譲りの髪がある。お父様と私は、濃紺のストレートな髪に、ダークブルーの瞳なのだ。その風貌からも、氷の参謀などという二つ名のついた父譲りの髪と瞳。ちなみに、お兄様は美しいウエーブのかかったライトブルーの髪で、瞳は母譲りの優し気な水色。うらやましい。
そんな髪をいつでもピッシリと一つに結わえて(邪魔だから)、キュロット姿で(機動力ある!)、馬を駆っていればまぁ……勘違いされても仕方がない。うん、仕方がない。多分、顔のせいもあるけど。
その上、フェルゼンやシュテル王子よりは低いけれど、男の平均ぐらいはある身長にいかり肩。平らな胸。飾り立てなければ令嬢などは思われないその風貌が恨めしい。