【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
そして、もう一つの決定的な理由。
戸籍上の性別と名前が男子だということ。これは私のせいじゃない。お父様のせいだ。
なぜだか、アイスベルク家は代々女の子が生まれにくく、大人になるまで育つのは稀で、病弱なことが多かったらしい。
リーリエお姉様は、百年ぶりに生まれた直系の女子で、生まれたときは一族郎党大騒ぎ。しかし、そんなお姉様も、例に漏れず病弱だったのだ。
その二年後に、私が生まれた。私は仮死状態で生まれて来て、周りの誰もが長くは生きられないと思ったそうだ。
それで、どうせ死ぬと思って投げやりになったのか、それとも死ぬぐらいならと一縷の望みをかけたのか。お父様は私に男の子風の名を付けて、洗礼も男子として受けさせた。その為、公式文書としては、私は男子として登録されることになったのだ。
そのおかげなのかなんなのか、私は一命をとりとめた、というわけなんである。
お父様、ありがとう。私は怪我はしても病気はしないで、今日も元気に生きています!
その上、そもそもアイスベルク家は女の子の育て方に疎く、政略結婚なんて考えたこともない家だったため、私は自由に育てられた。