【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「逃げてるの?」

 悪戯っぽい目で青い髪の男の子は聞いた。僕は頷く。
 彼はそれを見て、僕の腕を軽く引く。驚いて顔を見れば、人差し指を唇に当てていた。
 そしてそのまま馬小屋へ入る。

 僕は驚いた。そんな近くに行ったら、馬に蹴られてしまう。

 反射的に抵抗する。

「大丈夫。静かにしてれば大丈夫。……スノウちょっとゴメンね」

 僕は息を詰めて、身体をこわばらせたまま彼についていく。二人でスノウのお尻の陰に隠れる。

 馬の匂いがすごい。敷き詰められた藁の上に身をかがめると、スノウが足で近くの藁を僕たちに寄せた。
 僕は怖くて慌てるが、彼は小さく笑っただけだった。
 そしてスノウは静かに座った。これで僕らは表からは見えなくなってしまう。

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