【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
決勝は僕とフェルゼンとの対戦になった。赤髪の幼馴染は、ずば抜けた剣のセンスがある。僕も自分なりには頑張ったけれど、ギリギリのところで力が及ばなかった。
僕らが試合を終えた時、まだ三位決定戦が繰り広げられていた。
僕はそれを観覧席から見守った。
三位決定戦では、青い髪の彼が奮闘していた。
少し背の低い彼は、それでも健闘していた。頭一つ大きな相手に、諦めないで粘っている。僕は手に汗を握りながら、じっと試合を見ていた。
「ラッサンブレ! サリューエ!」
試合終了が言い渡され、彼は静かにお辞儀をした。そして、相手に右手を出す。対戦相手もその手を取った。彼が勝ったのだ。
その瞬間。
「頑張ったな!! ベルン!!」
幼馴染のフェルゼンが飛び出していって、彼に抱きついたから僕は驚いた。二人は抱き合って健闘を称え合っている。
仲が良いんだな。
チクりと胸が痛んだ。
フェルゼンを取られるのが悔しいんだろうか?
それとも、ああやって祝えないのが悔しいんだろうか?
僕はギュッと手を握りしめた。