【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 決勝は僕とフェルゼンとの対戦になった。赤髪の幼馴染は、ずば抜けた剣のセンスがある。僕も自分なりには頑張ったけれど、ギリギリのところで力が及ばなかった。
 僕らが試合を終えた時、まだ三位決定戦が繰り広げられていた。
 僕はそれを観覧席から見守った。
 三位決定戦では、青い髪の彼が奮闘していた。
 少し背の低い彼は、それでも健闘していた。頭一つ大きな相手に、諦めないで粘っている。僕は手に汗を握りながら、じっと試合を見ていた。

「ラッサンブレ! サリューエ!」

 試合終了が言い渡され、彼は静かにお辞儀をした。そして、相手に右手を出す。対戦相手もその手を取った。彼が勝ったのだ。

 その瞬間。

「頑張ったな!! ベルン!!」

 幼馴染のフェルゼンが飛び出していって、彼に抱きついたから僕は驚いた。二人は抱き合って健闘を称え合っている。

 仲が良いんだな。

 チクりと胸が痛んだ。

 フェルゼンを取られるのが悔しいんだろうか?

 それとも、ああやって祝えないのが悔しいんだろうか?

 僕はギュッと手を握りしめた。

< 175 / 408 >

この作品をシェア

pagetop