【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 ドアの向こうには、赤い髪と青い髪の少年が並んで立っていた。
 フェルゼンと並んでいるところを見ると、小さく見えてしまう。
 青い髪の少年は、僕を見てその空のような真っ青な目を見開いて―――。

「天使様!?」

 そう言った。

 ピョンと胸が高鳴った。

 忘れられてなかった。
 僕だけじゃなかった。
 思わず笑いが零れた。

 男の子は興奮した面持ちでフェルゼンを見た。フェルゼンは呆れたように彼を見て、膝を折って目配せする。彼もそれにならって慌てて膝を折る。臣下としての礼だ。

 そんなのは欲しくない。

 僕は気が付いたら歩き出していた。
 つむじが見たいわけじゃないんだ。
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