【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
二人を宿舎に送り届ければ、たくさんの見物人が窓から顔を出していた。王子とベルン様の帰りを待っていたのだろう。
これだけ歓迎されるのだ。
わが領地のお嬢様は幸せ者だと思った。
でも、ベルン様はわが領地のお方だ。
「ベルン様、もっと領地に帰って来いよ。レインの足ならひとっ飛びだろ?」
ベルン様は屈託なく笑って答える。
オレは見せつけるように、ベルン様と拳を合わせた。この人は、本来なら我らがアイスベルクの騎馬隊の先頭に立つお方だ。
宿舎の窓が、割れるほどの歓声が鳴る。
アイスベルクの騎馬隊たちは、それを背に領地へ帰る。
必ず、迎えに来ると心に決めて。