【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 部屋に戻って大きく息を吐く。
 ホッとする。疲れてしまった。

「大丈夫か? シュテルの我儘なんか無視したっていいんだぞ?」

 フェルゼンが気遣ってくれる。

「なんでもないよ」
「そうか? なんか、最近シュテル臭いぞ」

 フェルゼンの物言いにドキリとする。

「……あ、お、オイルの臭いだよ、手に付いてるから」

 そう答えれば、フェルゼンが手をとって臭いを嗅いだ。
 フェルゼンの体は熱い。こんな距離いつものことなのに、思わず体が強張る。そんな自分が恥ずかしい。
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