【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
愛馬のレインと共にアイスベルクに戻ってくれば、厩舎ではウォルフが馬を磨いていた。
「おかえり」
「ただいま!」
小さな子供がオブリと一緒に顔を出す。領地の子供だ。もう馬の世話を覚えに来たようだ。
「こんにちは」
声をかければオズオズと下がってしまう。私は無理に話しかけずに微笑めば、子供もぎこちなく笑い返す。
「ベルン様、一休みしたら町へ行くんだろ? 一緒に行こうぜ」
ウォルフが提案してくる。ウォルフは領地のことを良く知っているので、私がいない間の説明もしてくれるのでありがたかった。
「うん」
「だったら、めかしこんで来いよな! オレの隣に並ぶんだからさ」
尊大な言い方に笑ってしまう。
「了解! ウォルフもね」
そう答えて、家に戻った。オブリが当然のようについてくる。