【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
懐かしい部屋に戻って、きつく縛った髪を解いた。窮屈な制服を脱ぎ散らかして、バスンと自分のベットに飛び込めば、懐かしい匂いがした。
はぁぁぁ、安らぐ……。
しばし休息を満喫してから、自分のクローゼットを開けた。色とりどりのお気に入りのワンピース。今日はいったい何を着よう。そう考えるだけでワクワクする。
士官学校の制服はかっこいいけれど、毎日では飽きてしまうのだ。それに私服の紳士服は色のバリエーションも少なくて、少々つまらない。
いつも着られないピンクの花柄を選ぶ。デザインはシンプルなフレアスカートだ。
髪はハーフアップにしてもらい、リボンを結んでもらった。
フワフワとしたスカートの感触に、心までフワフワする。
階段を降りていけば、ホールには紳士然としたウォルフがすでに待っていた。
作業服姿もたくましくて男らしいが、余所行きのウォルフは年上だと実感させる粋な装いだ。