【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 ウォルフは眩しそうに目を細める。

「似合ってるぞ」
「ありがとう。ウォルフも大人っぽいね」

 褒め言葉に気分を良くして歩き出した。
 
 アイスベルクの町はこじんまりとした田舎町だ。領地はだだっ広いが町は小さい。王都のようにきらびやかな豊かさはないが、かといって貧しいわけではない。珍しいものはないかもしれないが、必要なものはきちんとある。そんな町だ。
 新しくできた店に案内してもらったり、馴染みの店に立ち寄ったり、ふらふらと町の様子を見て歩いた。
 

 王都ではできない買い物にも、ウォルフは嫌な顔せず付き合ってくれる。可愛らしい便箋やリボンを買って、甘いお菓子も買った。自分がしたいように振る舞えることが、これほど自由で楽しいだなんてすっかり忘れてしまっていた。
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