【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「手合わせをお願いします!」

 頭を下げられて、頬がほころぶ。楽しんでくれているみたいだった。
 私は一人一人に稽古をつけた。
 それからみんなで草原に座り、賑やかお茶会をして楽しんだ。
 私のいない間にあった、楽しかったこと、苦しかったこと、そんな話を聞きながら、お茶を飲む。

「ベルン様、昨日のデートはどうでした?」

 突然の質問に、口に入っていたマフィンが喉に詰まる。
 立ち寄った雑貨店の看板娘が訓練に来ていたのだ。

「きゃぁぁぁ! デート!?」

 恋バナ好きな少女たちが沸き立つ。

「デートじゃないって。いつもの町歩きだよ」

 幼年学校から王都にいる私は、領地に帰る度にウォルフに付き合ってもらって、町歩きをしていた。なんで今さらこんな風に言われるのだろう。
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