【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「昨日、二人で歩いてらして、スッゴク良い感じだったんですよ! あんなに穏やかに笑う隊長初めて見ました! ベルン様も可愛らしくて」
「穏やかに笑う……隊長?」
「うちのお店でお買い物してたんですけど、ベルン様の様子を見ながら、そのブローチ選んでいて……自分用だからなんて言ってラッピング断ってたのに!」
「自分用って、そんなわけないないない!」
「うちの店でも、パフェ半分こしてた!!」
カフェの店員が、煽るように追撃する。
「だって、そもそもあれ一人用じゃないでしょ!? いつもと同じようにしてもらっただけって知ってる癖に!」
憤慨して抗議をする。黙っていても用意してくれたのは、カフェだというのに。
「いつもってところがいいんじゃないですかぁ」
「それに苺の奪い合いしてましたよね!」
「隊長が苺の奪い合い!? 嘘でしょ……」
呆然とする少女たち。
私と同じ幼馴染たちは、何も言わずに笑っている。彼女たちからすれば、そんなウォルフは珍しくないはずだ。