【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「まぁ、それはともかく、ベルンならマレーネ姫にフワフワしないだろ?」
「ああ、確かに。俺たち姫様のお側近くなんて、緊張するしな? 匂いかぎたいしな?」
「そうそう。カワイイよなぁー、姫様」
「侍女ならお部屋で二人っきりとかある? あるのかな?」
「こ、こ、コルセットを締め付けたりとか、さ、さすがにそれはないか」
想像するだけでニマニマと口元が緩んでいるクラスメイトを見ると、確かにその辺の安全面では私が適任と思える。間違っても姫を襲うことはない。
シュテルがゴホンと咳払いをした。シュテルはマレーネ姫の兄なのだ。
クラスメイトは、顔を見合わせて気まずそうに黙る。
「わが領地の女騎兵でよければ推薦します」
「ああ! あれカッコよかったよなー!!」
クラスメイトが盛り上がる。好意的にとられていたようでとても嬉しい。
しかし、現実はそんなに甘くない。