【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「それは却下だ。これは士官学校に来た話だ」
指導教官には、即座に断られた。確かに依頼されたのは士官学校ならば、他へ回すことはできない。
それに、アイスベルクの騎馬隊は、唯一この国で認められた私設の軍隊だ。しかも創設されたばかりの女騎兵を信用できるかと言えば無理だろう。
「色々考えると、ベルンシュタインが適任なのかもしれないな。マレーネ姫様からもお前の名前が挙がっていた。ベルンならば出来るのではないかと」
指導教官が言った。
「……そうですね……。本当は王国に女騎士がいればいいのですが」
私は半ば諦めて答えた。
シュテルは大きくため息をついた。
「確かに女騎士の創設については考える時が来ているのかもしれないね」
シュテルが言った。
その言葉にドキリとする。もしそういう道があれば、私は私を偽らずに生きていけるのに。そう思った。