【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 結局、マレーネ姫のメイド役は私が引き受けることになった。メイド服のお仕着せを着て、髪をお団子に縛り上げる。メイクはメイドにしてもらった。ロングスカート中には、魔力を抑える暗器をいくつか忍ばせた。
 その姿でみんなの前に出れば、シーンとクラスが静まり返る。

「笑うなら笑えよ!」

 今更言葉を選ばれる関係でもないから、余計に傷つく。

「……あ……、や……」

 目をそらすな!!

「思った以上に……ハイレベル?」
「いや、かわいいわ、うん可愛い」
「ちょ、冗談やめて」

 クラスメイトの冗談にいたたまれなくなる。こんなのが可愛いだなんて、全メイドにゴメンナサイだ。

「純粋にかわいい! マジで!」
「てか、キレイ?」
「叱られたい……叱ってなんなら打って」
「おれ、お前なら抱けるわ」

 バン、と机を響く音がして驚けば、フェルゼンが立ち上がっていた。
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