【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「……ベルン様……?」
「お茶を用意させましょう。少しリラックス出来るかもしれません」
「ええ」

 マレーネ姫の前で、ヴルツェル侯爵家のメイドがお茶をカップに注ぐ。真っ青なお茶の色に周囲はギョッとした。
 メイドは平然な顔をして説明する。

「マロウという花のお茶でございます。初めはこのように青いのですが、だんだんと紫に変わります」
「ベルン様の髪と同じ色ね」

 マレーネ姫が屈託なく笑った。

「そして、こう姫様の黄色を浮かべます」

 メイドがカップに輪切りのレモンを入れる。青に鮮やかな黄色が映える。
 すると今まで青紫だったお茶の色が、ピンク色に変わった。
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