【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
22.マレーネ姫の視察旅行 2
一息ついたところで、農園を案内してもらう。
私はマレーネ姫にピッタリとついていく。騎士たちは少し離れて警護をしていた。見晴らしの良い丘からすそ野に向かって、たくさんの花が種類別に植えられていて、カラフルな絨毯のようだ。
「綺麗ですね」
マレーネ姫が感嘆すれば、農園主が嬉しそうに説明する。持ち主はクラウトの父だが、実際の経営をしているのはこの農園主だ。
ほのぼのとした良い空気が広がる。
農園で使用人たちが花を摘んでいる。中には生花としては売り物ならない花があったようで、使用人の子供が籠に入れて集めていた。
「この花はどうするのですか?」
「ドライフラワーや押し花、ポプリなどにします。食用のものは先ほどのようにお茶や、砂糖漬けにも致します。今の時期は結婚式も多いので、その際にフラワーシャワーにしたりもします」
「まぁ素敵ね」
マレーネ姫は女の子らしく瞳を輝かせた。