【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「かわいいですね」
マレーネ姫に笑いかければ、姫はびっくりしたように瞬きした。そして顔を頬を染める。
「べ、ベルン様は子供はお好き?」
「ええ、可愛いと思います」
「わ、私もです! 私も子供大好きです!!」
なぜか力説されてちょっと驚く。でも、そんなところが可愛らしくもあった。
「姫様を見ればその優しさが子どもにも伝わるのでしょうね」
「そ、そんなこと……」
姫は恐縮して目をそらした。
その瞬間。
花吹雪がフラワーシャワーのように舞い踊る。下から土が盛り上がった。
マレーネ姫の叫び声が響く。
突如土の中から現れた黒い人影に、騎士たちがサーベルを構えた瞬間、それに立ちふさがるような土の壁が立ちはだかる。
私は自分の背に庇うようにして、マレーネ姫とメイドたちを隠した。