【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

 大魔道士ザントは、若くして大魔道士の称号を受け、王宮の守護をつかさどっている男だ。だからこそ、マレーネ姫の私室に怪文書を送り付けることができたのだろう。無駄に使われるハイスペック。
 非公式ではあるが、マレーネ姫の婚約者候補の一人とされている。齢二十四歳。未来を約束された男である。
 紫の髪に切れ目の紫の瞳は涼やかで、いつもは寡黙でミステリアスな男と有名だった。私には良く分からないが、巷ではイケメンと人気があるらしい。
 それの本性が、こんなに痛々しいとは今まで知らなかった。そうまさに、残念なイケメン。

「マレーネたん……す」
「すはすはじゃなーい!」

 暗器の後でガツンと殴る。ぐふっと変な音がした。しらん、変態など無視だ、無視。

 馬乗りになったスカートに手を入れられ、足を触られゾッとする。

「ひいっ!」

 思わず膝と膝を合わせて内またになる。
< 249 / 408 >

この作品をシェア

pagetop