【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「今だけお姉さまとお呼びしても?」
「構いませんよ」
思わず笑ってしまう。
「お姉さま、ザント様はこれからどうなるのでしょう」
あんな変態にまで様をつけるとか、マレーネ姫、本当に良い子!
「そうですね、処遇が難しいところです。しかし、厳罰に処したいところだ」
どんな変態であろうとも、大魔道士だ。下手なことはできない。ただ、マレーネ姫の不安を考えれば、個人的には極刑でもいいくらいだ。
「あの方……そんなに罪に問われるようなこと、なさってないのでは?」
マレーネ姫の言葉にいぶかしむ。
「だって、お手紙をくれただけですもの」
「でも、あんな気味の悪い」
「脅迫も侮辱もありませんでしたわ」
確かに、それはそうだ。
「しかし、襲われました」
「あれはわたくしを狙ったものだったのでしょうか? 少なくとも私は指一本触れられていません」