【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
23.マレーネ姫の視察旅行 3
マレーネ姫のたっての願いで、魔道士ザントと面会することになった。ザントはヴルツェル侯爵家の牢屋に、魔法封じの法具を付けられ閉じ込められていた。
牢越しに対峙する私の背に、マレーネ姫がくっついて様子をうかがっている。
「ひぃぃぃっ、マレーネたん 無理、むりぃ。ごめんなさい、眩しい。生きててすいません」
雄たけびを上げて、ザントがマレーネ姫から後ずさり、壁に張り付く。
意味不明である。
キモイ。
私の背中越しに、マレーネ姫が話しかける。
「あの、ザントさま」
「いや無理、名前知ってるとか、無理、死ねるぅぅ」
「姫様話になりません、行きましょう」
私は振りかえって、姫の肩を掴み帰るように促す。