【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「……私も君を思い出すよ」

 きっと私は思い出すだろう。同じ寂しさを抱えた人。

「ありがとうございます」

 クラウトは丁寧に頭を下げてから、私に背を向けた。



 結局ザントは誰にも話さなかった。
 兄上に相談したら、『あれでも有能だし、気に入ったやつは裏切らないよ』と笑った。
 気に入られているのか甚だ疑問だが、少なくともしばらくは心配しなくていいのかと思えばホッとした。


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