【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「マレーネ姫は可愛いし、とっても魅力的だけど、私は結婚することはない」
「……王家とは結婚しない……」
シュテルが噛みしめるように呟いた。
「兄上も姉上もね」
なーんだ、なんて声が広がって、みんなの関心が他所へ向く。私はホッとした。
変な噂は困るのだ。
フェルゼンは機嫌良さそうに朝食を食べだした。
シュテルはなんだか難しい顔をしている。まだ疑っているのだろうか?
「それに、マレーネ姫は私のことを男として好きではないと思うよ」
「……そんなことわからないだろ」
「女装の私が気に入ったみたいだから。お姉さまと呼ばれたし、私も妹みたいには思ってる」
安心させるためにそう言えば、シュテルは眉の皺を深くした。一層機嫌が悪くなる。