【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「……やっぱりマレーネだけズルい」
「またそんなこと」
拗ねるシュテルが可笑しくて笑ってしまう。
「ベルンと旅行とかズルい」
「公務でしょ?」
「僕の公務だとベルン付かないじゃないか!」
「当たり前」
「そうだ! 夏休みに旅行へ行こう! ベルン!」
「俺も一緒だよな?」
フェルゼンが間髪入れずに突っ込んだ。
シュテルが嫌そうな顔をする。
「失敗した、フェルゼンがいないところで誘えば良かった」
「どちらにしても断る。警護とかメンドクサイ」
私はアッサリと断る。マレーネ姫についていったのは仕事だ。あんなふうに警護の騎士を引き連れてなんて遊べない。
シュテルがあからさまにムッとする。