【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
「鏡の離宮か!」
シュテルが答えた。
「確かにあそこならお忍びでなくても行ける」
「鏡の離宮?」
「ベルンがいるなら渡れるだろ?」
「確かに」
私は鏡の離宮を見たのは一度だけだ。エルフェンお兄様が、初めて離宮に氷を張るとき、岸から見学をしたきりで、湖を渡ったことはない。
お兄様が氷を張り、湖を先導していく様子は美しく、とても憧れた。
それを私がやっても良いのだろうか。
「いいのかな?」
「うん、信用してる、落とさないでね」
シュテルがいたずらっぽく笑った。