【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)
鏡の離宮での毎日は楽しかった。
三人での気楽な旅だから、特に格式ばったことはしない。ディナーも美味しいものを適当に楽しんで、起きる時間も自由。
ビリヤードもできるし、庭も広い。
気が向けば湖に氷を張って、近くの町へ遊びに出る。
ミルヒシュトラーゼの町は、いにしえの王都なのだ。現在の王都は、新しくできたミルヒシュトラーゼということで、ノイエ・ミルヒシュトラーゼという名になっている。
ミルヒシュトラーゼの人々にすれば、我こそが本家であり、アチラは新参。文化の成熟度では王都にも負けないプライドがある。その為なのか、王族にたいしての反応も穏やかで敬意があり過ごしやすい。
シュテルを王子と分かった上で、当然のごとく接してくれる懐の広さがあった。
歴史あるオペラハウスや、博物館など見るものも多い。
士官学校の制服ではない自由な時間を存分に楽しんで、気が付けばもう旅も終わり近くになっていた。