【電子書籍化】氷月の騎士は男装令嬢~なぜか溺愛されています~(旧:侯爵令嬢は秘密の騎士)

「今夜は天の川(ミルヒシュトラーゼ)の祭りだ」

 シュテルが言った。

「ミルヒシュトラーゼ? 王家に関係があるの?」
「うん、ここがミルヒシュトラーゼ家の発祥の地だからね。伝説では、僕のご先祖は星に乗って落ちて来たそうだよ」

 シュテルがまるで信じてないように笑いながら言った。

 その話は聞いたことがある。ミルヒシュトラーゼ家は夜空に輝く天の川から使わされたのだと。大きな星が地上に落ちて、離宮の湖を作ったのだと。
 王子の名、シュテルンヒェンとは小さな星の意味を持つ。
 
「それを祝って祭りを開くんだ。離宮の湖の水を町の人たちが汲みに来て、持って帰る。夜店もあるし、出し物もある」
「王家が何かするの?」

 聞けばシュテルは軽く頭を振った。
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